両親が本当の両親ではない。
つまり私が貰い子であったと言う事を聞かされたのは。
高校2年に進級した春の桜が散った頃でした。
幼少より兄弟と自分自身についての扱いが家族間で違うと言う事は自覚していました。
別に虐待された事も無く。
今思えば一般家庭の娘よりは良い暮らしをさせて貰っていました。
ただ、兄弟に過剰なまでに期待する両親の姿を見る度に。
自身の中で違和感が大きくなって行きました。
初めて自分の出生を教えられた時。
衝撃と言うより寧ろ。
今まで頭の隅に追い遣っていた疑問が一切の解決を見た事に対する。
爽快感が強かった事を今も覚えています。
育てて貰った恩、家族愛、ドラマや映画で垂れ流される流行の感情は。
不思議と沸いてきませんでした。
16歳の少女も、父親の瞳の奥に在する。
面倒なお前から早く解放されたいのだ、と言う本音を読む程度は出来たのです。
そしてそんな父親の心情に静かに納得したのもまた事実でした。
更に、両親が引いた私の人生のレールすら見えたのです。
黙ってそのレールを進むのが、曲りなりにも何不自由無く育ててくれた両親への恩返しかもしれない。
一瞬そう自分を納得させようと思いました。
しかし、結果から言えば。
両親含む家族親族と大喧嘩をした末に。
家を飛び出す形で我を通し。
故郷からそれなりに遠く離れた古都で大学生活を始める事になります。
その古都で、自分の一生を左右するとんでもない人に出会うのです。
同じ大学内で。
それも2人。
written by 可愛い人
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